カイロ

イスラーム芸術博物館に行った。徒歩で。
元々、私は歩くの好きなほうだと思うけどカイロの街を歩くのは好きじゃない。
道路はでこぼこ、ごみごみ、ぬかぬか。それはまだいいとして、心理的に余裕が持てない。
一直線に前を向いて早足で歩かなくちゃいけないような強迫観念。
どこででも道の真ん中で立ち止まって地図を広げられたのに、カイロではそれができない。
しちゃいけない訳じゃないのに、できない。もちろん景色を見る余裕などなく、レストランとかも何度その前を通っても気づかない。



博物館は人はまばら。外国人よりもエジプト人のほうが多いみたい。
ガラスのランプのところで係りのおじさんが手招きをする。近寄るとランプに灯りをつけた。
「きれいでしょ?」
もしかして、バクシーシを要求される?と思って返事も曖昧。でも別に何も言われなかった。
天井にきれいな寄木細工があって、それを見てる時も別のおじさんが照明をあててくれた。
「女の人はあの隙間から下を覗いてたんだよ」と説明してくれる。やはり、私はバクシーシが気になって早々にその場を立ち去ろうとする。
何も言われてないのに。
人間のちょっとした仕草にもビクビクする野良犬のよう。
情けない。気持ちがどんどん滅入ってくる。



その帰りにアブディーン宮殿で軍隊の行進を見た。遠巻きに。
そしてピザハットへ。日本ではパンピザよりクリスピーピザのほうが人気あるけど、こっちは逆みたい。
サラダバーも鬼のように盛る。さながらピラミッドのよう。
エジプトのちょっと不良っぽくておしゃれな感じの女子高生たちにさんざんウィンクをくらった。一体なんなんだ。